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2013年10月28日月曜日

たそがれハム兵衛 遭遇篇

拙者の名はハム兵衛。
こう見えても刺客を生業に
諸国を旅する一匹狼ならぬ一匹ハムでござる。
これはそんな拙者のある日の出来事でござる。


拙者を父と勘違いしている孤児を育てることとなり
共に諸国を回っていた。
夏は野宿でも気にはならないのだが、
さすがに秋風が身にしみるこの頃。
拙者一人ならどうにでもなれど、幼子を持つ身となればそうもいかぬ。











寒がるチュウ五郎のためにも今宵はどこぞに宿を借りねばならぬ。
とはいえ、路銀も少ない上に用心棒の仕事すら
今はなかなか見つからぬ。

せめて空家でもあれば、と思いながら歩いていると
遠目に良い小屋が目に入ってきた。
もう夕暮れ時。この先宿を探すのも難しいと思い
一夜の宿を家主に願い出ようと近づいてみたのだった。












早くチュウ五郎をやすませてやりたいと思った拙者は
いそいで小屋に近づく。

人の気配はここからは感じない。
もしかすると空家かもしれない。
そうなればチュウ五郎も気兼ねなく休める。
ありがたいことだ。


ところが…
近づいてみると住み心地の良さそうな小屋には先客がいた。
いや、家主かもしれぬ。
拙者は家主に幼子がいることを告げ一夜の宿を借りたいと願い出てみた。












「某、旅の剣客でハム兵衛と申す。
 ご覧の通り幼子をつれ諸国を回っております。
 願わくば一夜の宿をお借りしたい」

そう慣れぬ丁寧な言葉で主人を不快にせぬように
気をつけながら頼んでみると、
宿賃に壱萬厘殿払えと言うではないか!

当然路銀の少ない拙者達が払えるはずもなく、
ならばせめて軒先にでも、と頼むと
「軒先などない!さぁ、払え」と言う。
幼子のためにも、と食い下がるも
主人の虫の居所があまり良くないようで
話を聞いてもらえそうにない。












仕方なくその場を後にしようとしたのだが、
今度は追いかけてきて用意してやるから金子をだせという。
きっぱりと断るとそれがまた気に入らぬと
刀をぬいてくるではないか!
これでも刀を手にすることを生業にしている拙者。
返り討ちにしてくれる!と向かい合う。












しかし、腹が減って力のでなかった拙者は
不覚にも遅れをとり負けてしまったのだ。

逃げるようにその場をあとにした拙者達は
近くの大きな屋敷の軒下を今宵の宿にしたのだった……

“許せ、チュウ五郎。父は弱かった……”



****************

ひょんなことからでぐー小屋を置くことになり、思いついたのがこの話w
しっかりと犬小屋に「でぐ〜」と表札が出てますww
撮影協力はYazooが楽しく拝見している「いぬブロ」のお犬さんw
思いつき大王のYazooの突然の申し出にも快諾してくれた
心優しいお方ですw
改めてお犬さん、ありがとうございましたww

2013年9月22日日曜日

たそがれハム兵衛 出逢い篇

拙者の名はハム兵衛。
こう見えても刺客を生業に
諸国を旅する一匹狼ならぬ一匹ハムでござる。
これはそんなある日の出来事。











隣国へと移動中のことであった。
拙者はいささか歩き疲れ、
山中の古びた小屋の前で休憩をしていた。
次の宿場町まではなんとか陽が落ちる前には到着出来るだろう。
煙草でも噴かそうかと火の用意をしようとした所で、
なにやら鳴き声が聞こえることに気づいた。













「物の怪か…?」と訝しんだ拙者は
声が聞こえてくる古びた小屋の中へとゆっくりと入ってみた。

しかし、小屋の中には物の怪どころかなんの気配もない。
耳を澄ませてみると、どうやら鳴き声は
小屋の外から聞こえてくるようだ。
よくよく聞き耳をたててみれば、
その声は獣でも物の怪でもなく、童のようだ。
このような山中で何故……

気づいてしまった以上知らぬフリは出来ぬ故、
仕方なく探すことにした。













泣き声をたよりに探していると、
山の中腹ほどの竹林のなかに、
乳母車に乗せられたままの童を見つけた。
その側には弱々しい文字で「この子をよろしく」と
認められた手紙が添えられていた。

泣きじゃくっていた童が拙者に気づくと
愛らしい笑顔をみせる。そして、
「ちゃん!」と声をあげるではないか……

拙者は一匹狼ならぬ一匹ハム。
家族もなければ故郷もない。
拙者が童の父御ではないことを告げるも
童には理解出来ぬようで、いくら言っても
拙者のことを「ちゃん」と呼ぶばかり…













このままでは陽が落ちるまでに宿場町に付けなくなる…
誰の子とも知れぬ童をこのまま捨て置くことも出来るが、
それではハム道に反する。
一刻ほど悩んだ末、乳母車を押して宿場町へといそいだ。


そう、これがチュウ五郎と拙者の出逢いであった。